積立投資を始めようと思ったとき、まず迷うのは「何を買うか」ではないでしょうか。
オルカンとS&P500。よく名前を聞くこの2つ、正直、違いがよく分からないまま選んでいませんか?
そしてオルカン・S&P500と言ってもいろんな会社が出している、本当に選ぶべき商品を紹介します。
実は我が家、夫婦で答えが分かれました。夫はオルカン、私はS&P500です。
今回は、この2つの仕組みと手数料、過去の成績をできるだけ分かりやすく比べて、最後に我が家がなぜ夫婦で分かれたのかも書いてみたいと思います。
※この記事に出てくる手数料と成績の数字は、運用会社(三菱UFJアセットマネジメント)の2026年9月末時点の資料をもとにしています。成績は日々変わります。
最初に、言葉の説明を少しだけさせてください。
ここが分かると、比べるのがぐっと楽になります。
投資信託は、例えるなら花束のようなもの。

自分で1本ずつ花を買い集めなくても、いろいろな花が組み合わされた花束を買えば、一度にたくさんの花を楽しめますよね。
投資信託も同じで、ひとつの商品を買うだけで、たくさんの会社の株などにまとめて投資できます。
どんな花が組み合わされているかによって、花束の印象が変わるように、投資信託も、どんな会社に投資しているかによって特徴が変わります。
そして「指数」は、株式市場全体がどんな動きをしているのかを知るための数字です。
ニュースで聞く日経平均株価も、日本の代表的な225社の株価をもとに算出されています。
オルカンもS&P500も、決められた指数と同じような値動きを目指して運用される投資信託です。
こうした投資信託を「指数に連動する投資信託」といい、「インデックスファンド」と呼びます。
では、何を比べればいいのでしょうか?
ポイントは、大きく2つだけ。
・どの指数に連動しているか
(どこの国の、どんな会社に投資しているか)
・手数料はいくらか
私がブログで「オルカン」と呼んでいるのは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のことです。
日本を含む世界中の株式に分散投資できて、信託報酬も低い。
長期で資産形成をしたい人たちから人気のある商品です。
でも、ここでひとつ知っておきたいことがあります。
ほかの運用会社からも、世界中の株式に投資できる商品が販売されています。
同じように世界中の株式に投資できても、商品によって信託報酬や分配方針が違います。
そして、気をつけたいのが商品名の確認です。
窓口で「全世界株式に投資する商品です」と説明を受けたり、「オール・カントリー」という言葉を聞いたりしても、それが私の言うオルカン、つまりeMAXIS Slimのことだとは限りません。
特に、銀行や対面の証券会社で投資信託を購入する場合も、商品名と信託報酬や手数料を自分で確認することが大切です。
もちろん、eMAXIS Slimも金融機関の窓口で取り扱われています。
大切なのは、販売場所や商品のイメージだけで判断しないこと。
長く持ち続ける商品だからこそ、最初にきちんと確認しておきたいですね。
名前は難しいですが、中身はシンプルで、「世界中の会社の株価をまとめた指数」です。
中身は、世界中の約2,400社の株。アメリカやヨーロッパの先進国だけでなく、中国やインドなどの新興国、そして日本の会社も入っています。
買えば、世界中の会社に広く分散して投資できる。それがオルカンです。
ただし、大事なことが1つ。この「世界中」の内訳を見ると、6割以上(2026年9月末時点で63.4%)がアメリカの会社なのです。上位に入っている会社も、次に紹介するS&P500とほぼ同じ顔ぶれです。
つまりオルカンは、「アメリカを中心に、世界も全部買う」商品だと思ってもらうとイメージしやすいと思います。
S&P500は、アメリカの代表的な大型株約500社の株価をまとめた指数です。
投資信託では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などが、この指数に連動しています。
オルカン同様に、eMAXIS Slim以外もこのアメリカの500社に連動した投資信託も出ているので注意が必要です。
この500社だけで、アメリカの株式市場全体のお金の価値(時価総額)の約80%を占めています。アメリカの大きな会社は、ほぼ全部入っていると考えて大丈夫です。
顔ぶれは、Apple、Amazon、Google、Microsoftなど。日本に住んでいても、毎日のように使っている会社のオンパレードです。
オルカンとの一番の違いは、こちらは「アメリカだけ」に集中していること。日本もヨーロッパも入っていません。
投資信託には、「信託報酬」という手数料がかかります。
これは、管理費みたいなもの。持っている間ずっと、資産の中から自動で少しずつ引かれていく手数料です。自分で振り込むことはないので、気づきにくいお金でもあります。
我が家が持っている2つの信託報酬は、こうなっています。

オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式):年0.05775%以内
S&P500(eMAXIS Slim 米国株式):年0.08140%以内
(運用会社・三菱UFJアセットマネジメントの月次レポートより、2026年9月30日時点)
%だと実感がわかないので、円に直してみます。
100万円分を持っていた場合、1年間で引かれる手数料は、オルカンが約578円、S&P500が約814円。その差は約237円です。
1年で237円。10年でも2,370円ほどです(金額が増えれば、引かれる額も少しずつ増えます)。
例えば、大和アセットマネジメントの「iFree 全世界株式インデックス(オール・カントリー)」。
同じ指数に連動しているのですが、信託報酬は同じではありません。
- eMAXIS Slimは年率0.05775%以内。
- iFreeは年率0.176%です。
100万円を保有していた場合、1年間の信託報酬は、
- eMAXIS Slim:約578円
- iFree:約1,760円
その差は、年間約1,182円です。
「たった1,182円」と思うかもしれません。
でも、投資信託は長く積立て運用するもの。
例えば、1,000万円を運用していた場合、1年間の信託報酬は、
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):約5,775円
- iFree 全世界株式インデックス(オール・カントリー):約17,600円
その差は、年間約11,825円です。
10年なら、単純計算で約11万8,000円。
30年なら、単純計算で約35万5,000円にもなります。
しかも、これは保有額が1,000万円のまま変わらないと仮定した計算。
仮に年率5%で30年間運用できたとすると、信託報酬の差によって、30年後の資産額には約140万円の差が生まれる計算になります。
もちろん、将来の運用成績は分かりませんし、これは一定のリターンを仮定した試算です。
でも、手数料として引かれたお金は、自分の資産として運用することができません。
そして、運用に回せなかったお金が生み出すはずだった利益も、長い時間をかけて積み重なっていきます。
だからこそ、私は低コストの商品を選ぶことは大切だと思っています。
大切なのは、同じような名前だからと安心せず、正式な商品名と手数料を確認すること。
「全世界株式だから同じ」
「オール・カントリーと書いてあるから同じ」
そう思い込まず、自分が何を買っているのかを知っておきたいですね。
世の中には年1%以上の手数料がかかる投資信託もあります。たった1%と感じるかもしれませんが、住宅ローンの金利が1%上がると思うと大変な差に感じますよね。投資の世界も一緒です。払う手数料は少ない方がいい。
では、成績はどうだったのでしょうか。
運用会社が出している資料(2026年9月末時点)で、過去1年と過去3年の「騰落率」を見てみます。騰落率は、その期間にどれだけ増えたか(減ったか)を表す数字です。
(eMAXIS Slimの騰落率、2026年9月30日時点)
| 過去1年 | 過去3年 | |
| オルカン | +24.3% | +90.7% |
| S&P500 | +22.9% | +93.8% |
100万円で置き換えると、過去1年では、オルカンは約124万円に、S&P500は約123万円になった計算です。過去3年だと、オルカンは約191万円、S&P500は約194万円です。
面白いのは、過去1年ではオルカンが少し上、過去3年ではS&P500が少し上と、見る期間で順番が入れ替わっていることです。
どちらも大きく増えていて、差はわずかです。
それは、オルカンの中身の6割以上がアメリカだからです。アメリカが伸びれば、オルカンも一緒に伸びる。そういう作りになっています。逆に、アメリカ以外の国が強いとS&P500は負ける。
ここで必ず書いておきたいのは、これは「過去」の成績だということです。
過去に成績が良かったからといって、これからも同じように増えるとは限りません。見る期間を変えれば、順番が入れ替わることもあります。
「S&P500が勝つ年もあれば、オルカンが勝つ年もある。」そんな繰り返しの中でどちらも成長してきていて、1番を当てることが目的ではないと思っています。
ここからは、我が家の話です。
私が積立を始めたのは2021年。きっかけは、決して前向きなものではありませんでした。
コロナショックで私の個別株は大きな含み損を抱えていました。
老後2,000万円問題が浮上した頃でもあり、家計の未来を考えたとき、ぞっとしたんです。
子どもたちの学費、家のローン、そして老後資金。晩婚だった事もあり、お金のかかりどきが「いっぺんに」やってきます。
結婚後、将来の為にと貯蓄性のある保険に加入したものの、保険料は月10万円ほど、住宅ローンの返済も月10万円ほど。当時の家計は正直、苦しい状態でした。
このままでは足りない。そう思って、これまで「家計のお金は投資に手を出さない」と、決めていた私ですが、未来の為に家計のお金を投資信託で育てる決断をしたんです。
もともと私は独身時代のお金を使って、NISAも活用して個別株を買っていました。
ただ、昔の制度では「一般NISA(個別株などを買える枠)」と「つみたてNISA」のどちらか1つしか選べなかったので、思い切って個別株から積立に切り替えることに。
それまで専業主婦でしたが、投資資金を稼ぐために2021年からパートを始め、上限いっぱいの月3.3万円の積立を始めました。
理由は単純で、私はすでに日本の個別株をたくさん持っていたから。
積立まで日本の会社を含むものにしなくても、アメリカに集中した方がリターンがいいのではないかと考えました。
そして、貯蓄性のある保険は解約しました。10年近く積み立てていたものの、途中解約で元本割れ、100万円以上の損を出しました。
解約して戻ってきた返戻金は、子どもの学資としてジュニアNISAで投資することに。
そして、私がお小遣いとしてもらっていたお金と、解約して浮いた保険の掛け金をそのまま回して、夫の名義でも積立を始めることにしたんです。
夫に「保険の解約」と「投資で資金を作りたい」と相談したら、返事は「私に任せる」でした。
夫は株にまったく興味がなくて、学ぶ気もないタイプです。
よく、配偶者が保険の解約や投資に反対するという話を聞きますが、うちはその点、ありがたかったと思います。信頼してくれているのか、面倒なのかは分かりませんが(笑)、任せてもらえたからこそ、家計を大きく動かせました。
任された私は、夫の分は「リスクを少なくしたい」と考えてオルカンを選びました。
これが、我が家が夫婦で分かれた理由です。
積立のために私はパートに出るようになって、2024年新NISAになってからは、パートのお給料から月4万円ほどを積立に回してきました。
世帯全体で見ると、オルカンの中身も6割がアメリカですし、私の積立はS&P500なので、アメリカの比重はかなり高くなります。
それでも、あまり心配はしていません。
私たちが生きている間に、アメリカが世界のトップから転落することはないと思っているからです。
Apple、Google、Amazon、X(旧ツイッター)Netflix、Spotifyなど、アメリカの製品やサービスを使わない日はない、日本にいても、ほかの国でも、毎日たくさん使われています。
それに代わるものが、簡単に出てくるとも思えません。「デジタル赤字」という言葉があるくらいです。
それに、夫のオルカンは、中身の国の割合が自動で入れ替わる仕組みになっています。もしアメリカが本当に没落するようなことがあれば、それは世界全体が危ない時だとも思っています。
これはあくまで、我が家の考え方というか、私の考えです。
正解だと言うつもりはありません。
ただ、「なんとなく」ではなく、買う理由や仕組みを理解して選んだ、ということは書いておきたいと思います。
ここまで読んで、「結局どっちがいいの?」と思った方へ、私なりの目安を書きます。
・1本で世界中に分けておきたい、国の心配をしたくない人 → オルカン
・アメリカの成長に集中したい、アメリカに期待する人 → S&P500
夫のように「任せるから、分散しておいて」という考えならオルカン。
私のように「日本の株は自分で持っているから、積立はアメリカで」や
「より集中してリターンを狙いたい」と考えるならS&P500。
どちらも、立派な選び方だと思います。
そして一番大事だと思うのは、手数料でも過去の成績でもなく、
「騰落率がその年の1番でなくとも、また、相場が下がったときにも、持ち続けられるか」です。
積立は、長く続けてこそ意味があります。毎年のように銘柄を変えたり、不安になって積立をやめる、売却してしまうのが、一番もったいない。だから、納得して選んだ方を、自信を持って続けてください。
まとめ:迷いの正体は「何を買うか」だった
積立を始める前の迷いの正体は、「何を買うか」でした。
仕組みが分かれば、選ぶ理由を自分の言葉で言えるようになります。我が家は夫婦で分かれましたが、それぞれに理由があるので、それでいいと思っています。
次に迷うのが、「どう買うか」。一括で買うか、毎月積み立てるかについては、我が家の運用実績と一緒にこちらの記事に書いています。
そして今度は、この2つの違いを子どもたちにも説明して、こどもNISAでどちらに投資するか、一緒に決めてみようと思っています。その様子も、また記事にする予定です。
お金を増やすことも、今の暮らしも大切に。理由を持って選んだ積立を、これからも運用を続けたいです。
※投資信託は元本保証ではなく、運用状況によって損失が生じることがあります。この記事は個人の運用経験を紹介するものであり、特定の金融商品への投資や保険の解約を推奨するものではありません。
